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ベンチャー最前線(日経ベンチャー)

会話を通じて頭の中を整理 中小企業経営者の「名相談役」
カウンセリングでもない、コンサルティングでもない。あたらしく登場した人材育成手法、「コーチング」が、中小企業経営者の注目を集めている。 「コーチ」は質問を次々に繰り出すことで、企業経営者の「思考の整理」を手助けする。コーチングを受けて業績をあげた事例も出てきている。

「自分の中の答え」を引き出し問題解決へ

「最近、社員とのコミュニケーションが不足しているんです。」
「具体的にはどんな状態ですか」
「僕のところまで、あまり報告があがってこないんですよ。それで、現場の状況がよくわからない時があるんです。」
「何か対策は練っていますか」
「一人ひとりと面接でもして、じっくり話を聞かなければいけないと考えてはいるんだけど」
「面接ですか。あなたが社員の立場だったら、面接についてどう思いますかね」
「僕が社員だったら?そうだな。そう考えてみると、わざわざ面接なんかされたら、身構えてしまいそうだ」
「社員が身構えないようにするには、どうしたらいいでしょうか」
「そうだねぇ…。自分が何をやっているかを普段から気にかけてもらっていたら、進捗状況を報告しようという気になるかもね」
「そういう状態にするため、まず、あなたにできることはなんだと思いますか。」
「うーん。社員と廊下ですれ違った時に、僕のほうから気軽に声をかけるようにしたらどうだろう」
「それなら、すぐにできそうですね。来週のこの時間に、ぜひ結果を聞かせてください」

東京都千代田区の婦人服メーカー、アルタモードの吉田有(たもつ)副社長は、毎週火曜日か水曜日の午後6時から30分間、
自分の「コーチ」と電話でこんな会話をする。

吉田副社長のコーチは、教職の経験を持っているが、企業経営についてはズブの素人。しかし、吉田副社長は「コーチに悩みや問題点を話すと、毎回頭がリフレッシュされる。行き詰まっている時でも、何かしら打開策が浮かんでくる事が多い」と言う。

吉田副社長が受けているのは「コーチング]と呼ばれる、90年代に米国で発展を遂げた新しい人材育成手法だ。もともとはスポーツのコーチから派生した概念で、コーチは相談者の悩みを聞き、それに対して適切な質問を投げかけることで、相談者自身に考えさせ、自ら解決策へと到達できるよう導いていく。

その道の専門家が、相談者が抱える問題を分析し、具体的な解決法を提示したうえで、実行を指導していくカウンセリングやコンサルティングとは全く異なる手法だ。米国では、既に1万人以上のコーチがいるといわれ、経営問題に悩む企業経営者から、ダイエットに励む若い女性まで、幅広い層がコーチングを利用している。

相談者を導く様々な質問技法

日本にいち早くコーチングを持ち込んだのは、コーチ21(トゥウェンティワン)(東京都千代田区)。企業向けの社員研修を手がけてきた伊藤守社長が、97年10月、コーチングの普及を目的に設立した。米国の二大コーチ養成会社の一つ、コーチ・ユニバーシティと独占契約を結び、コーチの養成に取り組んでいる。

同社が定めるプログラムを修了し、一定の基準をクリアするとコーチとして認定されるが、その過程でコーチは、相談者を導くための様々な技法を学ぶ。例えば「相談者が抱える問題点を明らかにする」「違う角度から問いを投げかけ、相談者の視点を変えさせる」「なぜ××をしなかったのか、といった否定を含む質問は成るべく避ける」「相談者がスムーズに行動に移せるよう、行動の始まりと終わりを明確にする」などだ。

現在、コーチ21が認定したコーチの数は約110人、その中には異業種交流会などで顧客を獲得し、ビジネスとしてコーチングを手がける「プロ」も出てきている。コーチ21にも7人の認定コーチが社員として所属しており、大企業向けの集合研修も含めると、これまで延べ500人のコーチングにあたった実績がある。500人のうち、およそ4分の1が中小企業経営者だ。

一般に、中小企業経営者は相談相手が少なく、問題に突き当たった時に一人で行き詰まってしまう傾向がある。法務や税務といったプロの助けを得やすい相談相手ならまだしも、自分自身、頭の中を整理しきれていない漠然とした不安や悩みは遺憾ともしがたい。そんな経営者にとって、付かず離れずの立場で話を聞き、適切な質問を返してくれるコーチは、自らの考えをまとめるための「触媒」ともいえる。

こんな効用に目をつけ、コーチングを受ける中小企業経営者が増えてきている。オフィスや工場向けに仕出し弁当を製造・販売するレモン(福岡市)の秦善尚社長もその一人。昨年4月に設立されたコーチング専門会社、コーチプロスタッフ(東京都新宿区)の福岡支社に所属するコーチからコーチングを受けたことで、経営理念とそれに基づくビジネスプランが明確になり、業績アップにつながった。

秦社長は90年にレモンを設立。パートタイマーを含めて従業員8人と小所帯ながら、合成保存料や着色料を極力使わない弁当を販売するといった独自の経営を貫いてきた。しかし、価格競争の激化と共に、そうした特徴も次第に埋没していき、納入先の開拓は遅々として進んでいかなかった。秦社長は「日々の仕事に忙殺され、どこから手を着ければいいか全くわからない」という苦境に陥っていた。

秦社長に対するコーチングは、秦社長自身が抱える問題点を浮き彫りにするところから始まった。

「顧客の新規開拓がうまくいっていないんです」
「どうしてですか」
「客先でよその弁当と比較されて、おたくのは高いと言われても、営業担当者がうまく反論できずにいるようなんです」
「でも、秦さんのところのお弁当は、添加物が少ないというセールスポイントがあるじゃないですか」
「それも悩みの一つなんですよ。いくら添加物が少ないと主張しても、見た目が地味だから、『美味しくなさそうだ』とお客さんから言われるらしくて」
「では、どうしたら営業担当者が自信を取り戻せると思いますか」
「そうですね・・・。うちの考え方をきちんとお客さんに伝えられればいいんでしょうけど」
「それができるようにするには、何が必要だと思いますか」
「社員に、何が売り物かをしっかりと理解させることでしょうね」
「そのためにはまず何を?」
「うちの考え方をきちんとした文章にまとめるべきだと思います。だけど、何をどう書けばいいのかわからなくて…」
「ちょっと話は変わりますが、そもそも、秦さんはどうしてこの仕事を始めたのですか」
「理由ですか?そうですね、私の実家は野菜をつくっていて、私はいつも、無農薬の野菜を使った体にいい料理を食べて育ったんです。そんな体験が、今の仕事に結び付いていると思います」
「それでは、体にいい食事ということに関心をお持ちなんですね」
「そうなんです。最近、アレルギーが増えてきているでしょう。あれなんかも、つい食との関連性を考えて見たりします」

秦社長は、コーチとのこんな会話を繰り返すうちに、単に添加物が少ないと主張するのではなく、「体にいい」という特徴を全面に打ち出す必要性を痛感した。手始めに、箸袋やメニュー表に「あなたの健康の5年後、10年後を考えます」というキャッチコピーを印刷することにした。また、「私たちは健康のもととなる食の意識の向上に貢献します」という経営理念も定め、社員に周知徹底させた。

こうした取り組みの効果は絶大だった。営業担当者は、自信を持って自社の弁当を売り込むことができるようになり、秦社長がコーチングを受けはじめた昨年6月からわずか3~4ヶ月で、平均500食だった1日当たりの販売数量は650食に増えた。それが、社員の士気向上につながり、レモンの営業担当者は1日の業務が終わる午後4時以降に、自主的に営業に出るようになったという。

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